デザインの基礎やデータビジュアライゼーションについて学ぼうとしても、いつも色に関する章で詰まってしまう。
色について悩まされることはこれまでも多くあって、フロントエンドを続ける上でも、生活する上でも、色の知識不足は確実に1つのボトルネックになっていた。
フロントエンド開発で感じる「色」の壁
色への理解不足から不自由さを感じるようになったのは、シェーダを書き始めた頃からだった。
WebGLやWebGPUで動かすことができるフラグメントシェーダは、ピクセルごとに色を決定するプログラムで、多彩な表現を行うには、光をシミュレートした計算や、時に色空間の変換も必要になる。光と色に関する理論をきちんと理解すれば、もっと自由になれるのに…ともどかしかった。
シェーダに限らず、個人開発で一番時間がかかる作業は配色だった。
私は明度や彩度ですら、「ここをこう変えたらこういう色になる」という感覚をあまり掴めていない。色の調整も行き当たりばったりで、望む色やその組み合わせをつくるまでにとにかく時間がかかる。
近年ではCSSにも色を扱う機能がどんどん増えてきた。CSSの相対色構文も便利だけど、やっぱりコピペベースでなんとなく数値を変えてみる使い方しかできていない。
私は色について何も知らないのだと思う場面は本当にたくさんある。
CodeGridワークショップの教科書制作で、コンピュータでの表示(RGB)と印刷物での表示(CMYK)の色みの違いを初めて体感した。
WebGPUではテクスチャビューのフォーマットとして"rgba8unorm-srgb"をよく指定するが、sRGBとは一体何なのか、指定の有無でなぜ見え方が変わるのは知らないままだ。
自分の視覚特性すらうまく言えない
色の識別に困難を感じるものではないが、私にも生まれつきの視覚特性がある。白い蛍光灯の下で白い紙の本は眩しくてとても読めない。ハイコントラストな配色からもギラギラとした強い刺激を受ける。
エディタの配色テーマは自作したものを使っている。
他の人にとってはとても見えづらい配色かもしれないが、私の眼には優しくて気に入っている。でも、色の知識がない私は、自分がどんな配色が苦手で、それを軽減するためにどのようにこだわったのか、具体的に説明する語彙を持ち合わせていない。
白い紙の本を読んでも頭痛を起こさないように、部屋の照明にもこだわる必要がある。なんとなく暖色系の電球を選べば大丈夫だとわかっていても、製品の箱に書かれている数値を比較して判断できる知識がないので、電球選びはいつも悩ましい。
色について議論できる人になりたい
だから色と光についてきちんと学びたいとずっと思っていた。理論から体系的に学べる本を探した結果、色彩検定のテキストに辿り着いた。
現在は、色彩検定 2級とUC級の取得を目指している。
UC級は、色のユニバーサルデザインに特化した級だ。加齢や疾患による色覚の変化や、生まれつきの色覚特性について学んだ上で、どういう色使いをすればより多くの人に伝わるデザインになるのかを考えていく。
会社サイトのリニューアルでは、私含めさまざまな視覚特性をもつスタッフとデザイナーとで議論しながら、最終的に使う色を調整していった。
いつも当事者の意見が聞けるとは限らない。いろいろな見え方の可能性を知って、色についての議論をリードできるようなカラーアドバイザーになりたいという思いがある。
そして、色彩学を学ぶことには、もうひとつ大きなモチベーションがある。
今までセンスの有無で諦めていたものに、努力で立ち向かえるようになるかもしれないということ。そんな経験ができたら、この先どんなクリエイティブに挑戦するとしても、モチベーションも見え方も変わってくるはずだとワクワクしている。